言の葉の火葬場

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく、書いて、吐いて、そうしてどこにもいけない、言葉達をせめて送ってあげたい。そんな火葬場。

今日という日

灰の塔

火葬された心ない人間の骨 

 

鈍色の猫の眼球

消えかかったヘッドライトの光

 

泥の海で泳ぐ魚

その嘆息は真珠のごとく

 

仮面の男

仮面の女

血涙の跡はひび割れ

ガサガサと風を鳴らす

 

西から登る太陽が金色の矢を放ち

朝を歌う小鳥の心臓を射抜く

 

積まれた詩歌

鮮度は落ちて腐乱臭を放つ

 

あなたのみずみずしい感性

触れれば指先は破れ

喰らえば砂に変わり窒息する

 

存在するものを存在しないもので置き換えて初めて私は命を得る

 

そうして無垢な魂を保つために私は目を閉じて今日を終える

 

東に沈む太陽が銀色の月に優しく包まれて

灰の塔は音を立てて崩れ出す

 

これでお終い