言の葉の火葬場

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく、書いて、吐いて、そうしてどこにもいけない、言葉達をせめて送ってあげたい。そんな火葬場。

銀木犀

ねぇ、とあなたが私に声をかける。金木犀の甘い香りがするわねと、嬉しそうにあなたが言うので、金木犀は銀木犀の突然変異種なのだと私はあなたに教える。

少しの沈黙の後、甘く涼やかな風がざあっと吹く。

香りも色も違うけれど、元は同じ花なのね、なんだか、あなたと私みたい、とあなたが微笑む。

風の中、夕日に照らされたあなたの髪から、確かに銀木犀の香りがした。