2016-09-05 銀木犀 ねぇ、とあなたが私に声をかける。金木犀の甘い香りがするわねと、嬉しそうにあなたが言うので、金木犀は銀木犀の突然変異種なのだと私はあなたに教える。 少しの沈黙の後、甘く涼やかな風がざあっと吹く。 香りも色も違うけれど、元は同じ花なのね、なんだか、あなたと私みたい、とあなたが微笑む。 風の中、夕日に照らされたあなたの髪から、確かに銀木犀の香りがした。