甘い毒
その香りは私の心臓を鷲掴みするの。
貴方がね、近くにいると喉が渇いてきて、空調が効いているのに汗が滲んでくるの。
汗の匂いがしていないかしら、私は天女ではないので、きっと毛穴も見えてしまうわ。
睡眠不足のせいね、頬骨のてっぺんに出来た小さな発疹も、貴方に見られたくないのよ。
だからね、近づきたくないの。
いいえ、嘘。
本当は、近づいて欲しいの、触れて欲しいの。
貴方が好きよ。
カラン
今、男のくせに甘いお酒が好きだなんて格好が悪いな、と思ったでしょう。なんて、そんなことない、カルーアミルクが大好きなところも好き。
でも、後半は声に出ない。
貴方と口づけをしてみたい。
カルーアミルクの味がするかしら。
でも、きっと、猛毒だから、唇は火傷のように爛れてしまうわ。
そうして、唇の毛細血管から侵入した、その甘い毒が身体中の血管を破裂させて、私は死んでしまうと思うの。